Jリーグのフラッグをいつも掲揚している商店街の物語です。
『どうしていつもJリーグのフラッグが飾ってあるんですか?』
先日ベガルタ仙台の関係者さんから聞かれました。
そこで、改めて公式ホームページでJリーグのフラッグをいつも掲揚しているしている商店街の物語をご紹介します。
2011年12月13日、宮城県の南三陸町歌津に8店舗の仮設商店街がオープンしました。
東日本大震災でこの地域の中心街が消えても、この地域の住民の復興への希望は消えませんでした。
『いままでいろんなものを買って自分たちの生活を支えてくれた住民のみなさんへ恩返しがしたい。』
『買い物難民を増やしてはだめだ!』
そういう商店主たちの希望が形になった日でした。
半年が過ぎた春に、気候も緩やかになった商店街に大漁旗が飾られるようになりました。
ちょうど5月だったので持ち寄られたり寄贈された鯉のぼりも飾られました。
全ての民家が流された広い伊里前湾の小さな商店街が華やかに見えました。
そして、大漁旗の返却とこいのぼりの撤去の日が近づいてきたある日のこと、
当時の商店街会長が『大漁旗が無くなるとさみしくなるよね。目立つ旗が欲しいな・・・』とつぶやきました。
そこで、そのつぶやきをツイーターに投稿してみました。
南三陸町歌津、伊里前福幸商店街へ旗を送りませんか。 よろしくお願いします。m(__)m
つぶやきのリンク先の記事を紹介します。
5月22日
伊里前しろうお祭りは3000人以上のお客様に恵まれ大成功でした。
ご支援ご協力を頂いた皆様、ありがとうございました。伊里前福幸商店街からのお願いです。
現在、商店街を飾っている大漁旗は今月中に持ち主様へお返しすることになっています。
寄贈して頂いた3件の鯉のぼりも今月中に保管される事になりました。
大きな大漁旗は商店街を華やかにしてくれました。
6月から飾りの無い商店街になります。
商店街で今後の話し合いが行われ、Jリーグや野球の12球団、オリンピックの旗等を飾り来月以降も45号線を通る車が商店街へ寄ってくれる様にしたいという意見が商店会長さんから出ました。
他の店舗の皆さんも賛同しました。
商店街の経費を使っての購入案も出ていますが、今後の夏祭りイベント、その他の行事でかなりのお金がかかります。
皆様の中で野球ファン、Jリーグファンの方がいらっしゃいましたらご協力をお願いします。
大漁旗のように派手な色使いの旗を希望しています。
勝手なお願いですが、重ねてご協力をお願いします。
旗の送付先
本吉郡南三陸町歌津字伊里前96-1
伊里前福幸商店街
次の日から少しづつお問い合わせを頂くようになりました。
そして1ヶ月後のある日何人かのサッカーサポーターさんたちが、いろんなチームのフラッグと一緒に商店街に来てくれました。
・・・
『実家が南三陸町なのに、震災から1年過ぎても何もできていないことでモヤモヤしてたんです。』
『目立つ旗をくださいという投稿を見て、わたしにできることはコレだと思ったんです。』
『他のチームのサポーター友達に声をかけて集まったフラッグを持ってきました。』
・・・
その時の感動をご紹介します。
始まりは、商店会長さんの一言でした。
「大漁旗をそろそろ返さなきゃいけない。寂しくなるね。」
かつて伊里前には、30店舗以上のお店が有りました。
2011年3月11日の大震災で中心街だった伊里前は全てが流されました。
津波が来た時の用心で避難用バッグを用意していたにも関わらず、エムさんは高台に逃げたとき手に持っていたのは電話機の子機でした。
車で逃げたエスさんは自家用車で逃げたため仕事で使うユニック車を失いました。
ヨシさんは店に居たお婆さんを避難させた後裏山に逃げましたが、津波に追われる様に崖を上り最後には山頂に立っていました。
それから半年が過ぎた12月3日に町民が待ち望んでいた伊里前福幸商店街が出来ました。
今まで以上に活気のある地域にしたいと立ち上がった7人の店主さんが、私財を投げ打って始めた商店街です。
今まで商店街を華やかにしていた大漁旗の代わりになる目立つ旗が欲しい。
「商店街の皆んなでお金を出し合って買おうか。」
「そんな予算はないよ。」
「インターネットを通じてお願いしてみましょう…」
そして、Twitterを通じて呼びかけることになりました。
5月22日ホームページとTwitterで呼びかけが始まりました。
その後、お問い合せメールが届く様になりました。
メールの一部分を紹介させていただきます。
「Twitterを見ました。」
「こんにちは。私は南三陸町出身で、現在は仙台市在住の・・・」
「Jリーグクラブ・ザスパ草津の・・・」
「旗の記事を読ませていただきました。」
「初めまして。私はJリーグ 大分トリニータサポーターBUSTAの・・・」
大漁旗と言うのは寄贈主の名前と船の名前で構成されています。
大漁旗の風習に習って寄贈して頂く旗にお名前を入れてもらう様にお願いしました。
そして、自宅にあった大漁旗、購入して頂いた大漁旗、手作りの大漁旗やJリーグのフラッグが商店街に届く様になりました。
サポーターさんのホームページやブログでも紹介して頂きました。
そして、今。
記事を見てくれた皆さんの熱い応援メッセージの入ったフラッグで商店街は華やかになりました。
コンサドーレ札幌
ベガルタ仙台
仙台89ERS
モンテディオ山形
水戸ホーリーホック
栃木SC
ザスパ草津
浦和レッズ
ジェフユナイテット千葉
FC東京
横浜FC
横浜Fマリノス
アルビレックス新潟
カターレ富山
ツエーゲン金沢
ヴァンフォーレ甲府
松本山推FC
清水エスパルス
京都サンガFC
セレッソ大阪
愛媛FC
大分トリニータ
※J1 J2 BJ JFL 都道府県順選手のサインの入ったフラッグもあります。
奇跡が起きました。
奇跡が起きました!
奇跡が起きました!!!!!!!
商店街一同の喜びだけではありません。
フラッグが飾られた瞬間、子供達が叫びました。
「あ!ベガルタ仙台だ!」
「あ!浦和レッズも!」
駐車場でサッカーボールを蹴る子供達・・・
中学生や高校生もやって来て
「なんだか凄いね。」
「サインが入ってる!」
大人が、「Jリーグのサイン入りのフラッグがこんなに沢山飾ってある商店街は日本でここだけだよ。」と話すと、
「すげ~!」
「すげ~~~~!」
「自慢出来るね。」
「学校で自慢するんだ!」
一番喜んでくれたのは子供達かもしれません。
ご協力頂いた皆様、ありがとうございます。
そして南三陸町歌津伊里前福幸商店街へぜひ遊びに来てください。
華やかな大漁旗、
心をこめて作って頂いた手作り大漁旗、
何枚ものフラッグを一枚に縫い合わせたビッグフラッグ、
万国旗、
J1 J2 BJ JFLのサイン入フラッグ、
等々を、見に来てください。感動と興奮をありがとうございました。
2012年のベガルタ仙台年間成績は二位でした。
2013年は楽天が優勝で被災した人々に元気をプレゼントしました。
復興応援の想いが込められたサポーターさん一人一人の行動が一つになって宮城県の小さな町に希望の火を灯した瞬間でした。
つづく・・・
この奇跡の物語は仮設商店街から南ハマーレ歌津商店街に変わった今も続いています。
ぜひ、南三陸町歌津で奇跡のフラッグを体験してください。
コメントを残す